ハナミツ







「……あっちにいこうか」




直昭さんは、私の手を引きさらに歩道を外れた
木々の中に踏み入っていく。



整備はされてるから、歩けない道じゃなかったけど、
直昭さんがこっちを見ないから。







「………直昭さん」





「…しようか、キス?」




「………あ、あの、……」





視線が痛い。

気付いたら大きな木を背にしていて、
私は問いつめられているみたいな体勢になっている。





彼は眼鏡を外し、
唇を押し付けるようにキスをしてきた。


「…ん、う、……………あ、んん」












私の腕をとり木に押さえつけられた。
左腕だけ不格好に頭の上にあり、彼は手首を
押さえつけたまま離さない。














「な……………お、あきさ、……っん、」





頭がくらくらする。
ぼうっとする。



 
舌を絡ませる音が耳元で静かに聞こえる。















< 449 / 668 >

この作品をシェア

pagetop