ハナミツ
「……あっちにいこうか」
直昭さんは、私の手を引きさらに歩道を外れた
木々の中に踏み入っていく。
整備はされてるから、歩けない道じゃなかったけど、
直昭さんがこっちを見ないから。
「………直昭さん」
「…しようか、キス?」
「………あ、あの、……」
視線が痛い。
気付いたら大きな木を背にしていて、
私は問いつめられているみたいな体勢になっている。
彼は眼鏡を外し、
唇を押し付けるようにキスをしてきた。
「…ん、う、……………あ、んん」
私の腕をとり木に押さえつけられた。
左腕だけ不格好に頭の上にあり、彼は手首を
押さえつけたまま離さない。
「な……………お、あきさ、……っん、」
頭がくらくらする。
ぼうっとする。
舌を絡ませる音が耳元で静かに聞こえる。