ハナミツ
じっと私の顔を見たまま、彼は聞いている。
「な、直昭さんに、…その、…そういうこと、
して欲しいって言って困らせてしまったから。
だから、申し訳ないなって…。」
「……」
「自分はお母さんのこと話して楽になってしまって
いいかもしれない。けど、
かわりに直昭さんにこんな話聞かせた上で…
そ、そういうことして欲しいって…重いし…
相当なワガママじゃないかなって。
…。」
私は、彼の顔が見れなくて床を見ながら話す。
見なくても近くにいることが分かる、
彼の体温と香りが近くてどうしようもなくなる。
「蓮花」
「……好きだよ。」
「…」
こくりとうなづいた。