ハナミツ
直昭さんは、晩ご飯を食べたあとの洗い物をしている。
さっきは晩ご飯前に急に抱きしめられて、
特に何もされなかったのだけれど、
…。
どうしたのかな。
「…直昭さん。」
「ん、どした。寒い?」
「あ、違うの。ちょっと…呼んでみただけ。
ごめんなさい。」
「別に謝んなくてもいいよ。」
「うん。」
「蓮花。」
「はい。」
直昭さんは洗い物を終えたのか、
こちらに来た。
私が座っていた横のソファに座る。
「本当に大丈夫。今日、夜…」
「…」
私の手を両手で握りしめ、擦れた声で聞かれた。
「無理しなくてもいいんだよ。女の子って身体辛いだろ。」
「……大丈夫」
擦れた声が、心を揺らす。