ハナミツ
「……誕生日。直昭さんの、もうそろそろだし。
だから、私……、」
直昭さんが優しく逃げ道を用意してくれてるのになぜだろう、逃げ道を塞がれてる気分になる。
追い詰められて、
逃げられなくさせられて、
捕まえられる。
結城さんも確かそんな事言っていた。
ー彼が、あなたを捕まえたがる訳ですね。
「……バカだな。」
「……。」
沈黙が落ちる。
時計の音が聴こえた。
「…ほんとに、いいの?」
柔らかく直昭さんの声が耳をくすぐる。
「私を、直昭さんの、……にして、ください 」
「あぁ、もう可愛いなぁ!!」
直昭さんはヤケみたいに言うと片方の手を離した。
「…ありがとう。」