ハナミツ
…でも言葉にしようにも
できなかった。
嬉しいことを不意に言われると、言葉が出なくなるのは本当だ。
声優のくせに。
気の利いたことを言えなかった。
「……いま、11時ですね。まだ明日じゃないんですね」
「…ああ、高速使ってきたから。早く着きすぎたなぁ。少し歩いた所に喫茶店あるから行く?」
「は……ん、…っ……」
俺は彼女の返事を聞かないうちに唇を塞いだ。
さっきからしたくて堪らなかった。
舌を絡め、息継ぎをさせないキスをする。
「……………っ、」
口から零れたモノを舐める。
蓮花は恥ずかしそうに目を伏せた。
「……可愛い」
耳元で囁く声に蓮花が身震いをしたのがわかった。
「……っ、可愛いくなんか、…直昭さん汚いです…やめ、……ふ、」
我慢が聞かずにシートを倒し馬乗りになる。
蓮花はこちらを見ない。