ハナミツ
「…蓮花はおれじゃないよ」
「……はい 」
「おれの選択の責任をぜんぶ背負い込むことはないし、そんな事して欲しくない。」
直昭さんは手際よく路肩に車を止めた。
ハザードの音が聞こえる。
「………馬鹿だな」
直昭さんはハンドルを握っていた左手で私の右手を握った。呟くように言った言葉は私に向けてか、自分に向けてかは分からなかったけど哀しそうな気がした。
「直昭さん」
「…直でいい。もっと、近くに来ていいんだよ。
遠くからおれのこと見てるわけじゃないんだから。
蓮花…」
真っ直ぐ私を見てくる直昭さんの目は、熱を帯びていて逸らさせなかった。
キスもしてないのに、動悸が激しくなった。
こわれる。
こわされる。