ハナミツ
そこまで言いかけ直昭さんは言葉をとめた。
「……」
好きだった訳じゃない。
「俺は贅沢言ってるな、過去は変えられないのに。ごめん。」
「直昭さん。」
「きょう一緒にいてくれてありがとう、」
耳元で優しく呟き、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「……私が居たかったからお礼言わなくていいんですよ」
「うん、」
応えられない私を分かっているみたいに
直昭さんは言った。
私が、ちゃんとしなきゃいけないのに、
直昭さんを苦しめてる。
ちゃんと彼のことしなきゃいけないのに。
優しくしないで、
自分の情けなさに泣きたくなる。