ハナミツ
「彼女の母親が立花真琴の義理の母親ー、へぇー知らなかったわ。当たり前か、隠してたんだからな」
事の顛末をかいつまんでタツに話すとスマホをいじりだした。
「でも、彼女の母親が女優の吉野桜か。
お袋が好きだったなー。
あー、………確かに似てるよーな似てないよーな。」
横から除きこんだ。
吉野桜の画像、映画のポスターなんかがでてくる。
綺麗な人だ、相変わらず。
「たしか前に死に方まで芝居みたいだったってお袋が言ってたな。見たことある、これ?」
「は??」
スクロールしたあとこれだと、写真をクリックして見せてくれた。
真冬の高速道路にグレーのトラックは、横滑りし乗用車は大破していた。
ただ、それだけなら悲惨な事故で目も当てられないだろうにあろう事か事故現場は色とりどりの花と、雪で埋め尽くされていた。
花………
「…花を運んでるトラックと接触したことが幸か不幸かこの写真が世に出ちまったらしいけど。お気楽だな、人が死んでるのになにが美しいだよ。」
忌々しげにタツはスマホを放り投げた。