ハナミツ




涙が滲む。



私怖かったんだ。



嫌われることが。
直昭さんから、いらないって言われるのが。




あの声でお前なんかいらないって言われたら、もう
(きっとそんなこと言わないと思うけど)












胸の中にもやもやしたものが生まれる。
消えない。







パタパタと階段を上下する音がした。
誰か来る。



降りなきゃ。


でもまだ直昭さんがいたらどうしよう…。




でもー、













別に大丈夫じゃないだろうか、
ここは彼の仕事の範囲だ。花屋の私には挨拶くらいしかしない。大声で好きだと叫ばれる訳じゃない。







頭のどこか遠いところでふと浮かんだ。





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