ハナミツ
さっきの事務所に戻ると、人だかりは無くなっていた。
良かった…。直昭さん帰ったんだ。









事務所の人に設置の完了を伝え、駐車場へ行こうとした。



「そういや綾瀬さん、新しくまた外画の吹き替えするんだって?」

「本人はまだ内定ってゆってたけど、凄いねー。仕事してもし足りないって感じ。」



スレ違いながら女性ふたりは通り過ぎていった。

新しいお仕事の話か…。








「………藤ノ宮さん。」


後ろから声がして、体を竦めてしまった。



直昭さん…の声だ!



「………あの綾瀬さ……」


「…。」


振り返ると、見知った顔がいた。

「久しぶりだね、蓮花」









「………、」


「綾瀬って、誰?」

会いたくない彼がいた、
会いたくない人。

立花真琴


「会いたかったよ、ずっと。謝りたかったんだ、君に。」





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