ハナミツ
「………」
「なんで、」
「所属してる事務所の近くで挨拶に来てたんで、
さっきは綾瀬さんって声優さんが来てたみたいで、すごいな。彼の話で持ち切りだよ」
事務所……が近いから…
「そんなに警戒しなくても…って無理か。」
「………、」
「話も出来ない訳じゃないんだろ?はい、」
彼はすっと私に差し出した。
「名刺、連絡先載ってるから何時でも連絡してくれたら行く。大丈夫もう意地悪は言わないし、しない。」
「………意地悪?」
「ガキだったから桜さんの気持ちに気づけなかった。
随分長い時間かかったけど、あの時あんたを責めたのはオレが弱かったからだ。
みんな悲しかった。なのにあんた達家族は表にいる俺たちと違って無責任に悲しめる、親父は大変な思いをしていたのに…って。あんたたちからしたらとんだどばっちりだったろうに。」
あんた達からしたら…
「………、いえ」
「相変わらず敬語なのな、あんた。ほんっと桜さん思い出すよ、」
遠慮がちに笑いながら、言った。制服を着ていないのが時間が経った証でそれが変な感じがした。