ハナミツ



え。


「や、全然会ってない…ですけど。……」


「そっか、でもスタンド花は作るんだよね。
綾瀬のイベントの。」


「え、と、は…い。ご存知なんですね。」


七瀬さんは視線を外さずにパソコンに向かったまま
キーボードを打つのをやめない。


ある意味器用だ。

「………」


「七瀬さん?…」


「……君は綾瀬をどう思う。
声優だということを黙っていて憎い?
…それとも優柔不断だと思う?…」



「私は、………」

「嫌いではないから困っちゃうかな」



「……。」

困っちゃう。


困る。


綾瀬さんの笑った顔。
少し人をからかうところ。

調子が悪いといった時に驚いた顔。


「…綾瀬は幸せものだね。」





「……七瀬さん。以前私に綾瀬さんは、
芸能人だから近付いたら危ないと言われましたよね。なのに何故、私が綾瀬さんと上手くいったらいいと言うんですか」











< 59 / 668 >

この作品をシェア

pagetop