ハナミツ
一秒が一瞬になった気がした。
直昭さんは驚いた表情を浮かべ苦笑した。
「大泣きするかと思った、」
「ごめんなさい、」
「いやだー。許さなーい」
「え!」
小さく叫んだ声に直昭さんはふっと笑う。
「蓮花からちゅーしてくれたら許そう」
「…………直昭さん?ここ事務所ですよ」
「知ってるよ、だから蓮花からって言ったんだよ。」
得意気に言い、握っていた手を離した。
言いたいことがいっぱいあるのに、
「少しだけしゃがんでください」
「ん、」
「……綾瀬さん」
肩と頬に手を当て彼にそっと触れた。
壊れないように、壊さないように。
彼の、熱に触れる。