ハナミツ
ブルーのストライプのシャツをきた男の人は蓮花に近寄る。声をかけるが、蓮花は起きない。
照明が落ちた彼女の足から血が出てきていた。
「…出血とは厄介な事に。すみませんが失礼します。」
彼はそう言い少し離れスマホを取り出し写真を撮った。
「あの、」
「申し訳ありません、公的機関に提出する状況証拠として撮影致しました。それ以外での目的では使用いたしません。私共の店の者です、守らねばならない義務がありますので。」
現場のスタッフを息を呑むほどに冷静だった彼に圧倒された。
照明の破片を片付けるスタッフも一瞬手を止めた。
「……馬鹿ですね、何をしてるんですか。蓮花さん」
…馬鹿じゃない。
俺を庇って怪我をしたんだ。
担架が来て蓮花は乗せられた。男性も一緒について行く。
動かなかった俺の足がようやく動いた。