ハナミツ
イベントで使うボールペンをポケットから出し名刺の裏に自分のスマホの携帯番号を殴り書きをした。
「あの、すみません!!」
「はい。」
走って追いかけた彼は止まってくれた。
彼女を運ぶ人に目配せだけし、俺に向き合った。
担架は狭い廊下を急いで運ばれていく。
「あの、僕を庇って藤ノ宮さんは怪我をしました。すみませんでした。何でも出来ることがあったらします。……だから、すみません、その、……」
殴り書きをした名刺を渡した。
「頂戴いたします…、あなたのことを庇って怪我をしたんですね。」
「はい。」
「もう時間がきますよ。笑ってください、あなたを待ってる人たちに。
彼女の事は私が責任を持ってあなたにお伝え致しますね。私は結城といいます。綾瀬直昭さん。」
流れるように彼は俺に名刺を差し出した。