ハナミツ
そういえば、直昭さんのお家に初めて来た時も雨だった気がする。
土砂降りで行き場のなかった私を泊めてくれた。
初めてキスをした。
初めて名前で呼んだ。
寝た振りをした時に、
一人でいたくなかったんだと、彼は呟いた。
直昭さんは知らない。
私の知ってる彼の小さい秘密。
彼は私に何を話すのだろう。
「蓮花ごめん、終わった。今話せる?」
「あ、……はい。」
本格的にテレビを見る前に直昭さんが私の方を叩いた。
「えと、ここでいいか。」
直昭さんは隣に座った。
「直昭さん?」
「……蓮花。」
私に視線を向けるが耐えきれず、下を向く。
「どうしたんですか?大丈夫ですか?」
「大丈夫ちょっと待って…大丈夫だから。」