ハナミツ





「………」


直昭さん。


「本当は俺はそんなにかっこ良くない。優しいなんて言いかえれば八方美人だし、誰にでもいい人にみられたいと思ってる。ズルい奴だよ。」


「………そんな、こと。」


「…でも、」


「?」

直昭さんはジーンズのポケットからキーケースを出しテーブルに置いた。金属音が耳に響く。

私が誕生日に渡したものだー



「…誰よりも、蓮花にいちばん優しくして欲しいんだ。
オレのこと。
オレだけに、優しくして欲しい。
自分以外の奴には優しくしなくていいし、優しくして欲しくなんかない。考えただけで苛々する。」



低い声で誰かを罵る。
直昭さんのこんなところ見たことがない。
手を伸ばして直昭さんの髪の毛を撫でる


優しくして欲しい。


「直昭さん……」


「うん。」



「…ずっとそう言うの待ってくれてたんですね。ありがとうございます……。」
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