ハナミツ
そういえば、あの雨の日直昭さんは
私に言ってくれた。
のそりと起き、直昭さんの体が向いてる方に行った。
「………直昭さん、」
「うん」
目を合わせないで下を向いてるからわたしとは目が合わない。
「わたし、直昭さんに会った日のことずっと覚えてる。
私が転んだ時に心配してくれて、笑ってくれた。
その時から多分、この人ならどんなに酷いことをされても構わないって思ってる、
今もきっと、そうだと思う。傷付いてもいい、それでも近くにいたいって……。離れるのが怖くなりました、」
「………、」
そう、きっとあの時笑ってくれた時に
私はこの人に惹かれていた。
気付くのが随分遅くなってしまった。