ハナミツ
直昭さんはわたしをじっと見た。
「大丈夫?一人で、オレも一緒に…」
「駄目ですよ、お仕事があるじゃないですか。
お仕事頑張ってください。」
私が彼に出来るたったひとつのこと
だから、ごめんね直昭さん。
口をきゅっと結び膨れた顔をする。
「ちゃんとおれのところに帰ってきて。」
「はい。」
「終わったら連絡すること。必ずして。
どんなに遅くなっても。
あと悪いけども会う場所と日時だけ教えて、何も無いとは思うけどおれも心配で仕事手につかなくなるのだけは困るから。それだけはお願いします。」
「うん。」
直昭さんはぎゅっと私の近くに来て抱きしめた。
「……」
「今日はこのまま寝よう?」
「………」
何も言わないで直昭さんの背中に手を伸ばした。
ごめんね直昭さん。
ごめんね、立花くん。
ごめんなさい。
お母さん。