ハナミツ
〈綾瀬目線〉







アンドロイドの歌姫はかつて一人の男が愛した美しいお姫様だった。

お姫様はある日病気で
死んでしまい悲嘆にくれた男は、悲しみのあまり
禁忌の研究に熱を注ぎ込んで作り上げた、

アンドロイドー”REN”


歌うためにのみ口を開くアンドロイドはまるで人間のよう。
だれもロボットのそれだと疑うことなど無かった。




お姫様のことを知る人間がいなければ、
彼女は静かに存在出来た、


欲しい物はいつだって誰もが欲しいのだ。





車を走らせながら姫キスのあらすじをぼんやり思い出した。



鍵を渡したあの日ー
蓮花は、
俺を支えたいと言ってくれた、嬉しかった。

こんなどちらも選べない優柔不断な
自分をそう言ってくれるなんて、なんて優しいんだと。


七瀬さんから話を聞いて聞いた彼女の話は、
姉と話したみたいにシンクロしていた。


蓮花はそう、……姉と少し似ている。
考え方も、性格は違うがやさしいところもそっくりだ。
(シスコンだと言われたら否定出来ないのが悔しいが)



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