ハナミツ
「……2度も彼女に同じ思いをさせるつもりなんですか?綾瀬さん」
あぁ、そうか。
結城さんはだから駅で俺を試したんだな。
ー恋や何かを失った人間がどれほど辛いかあなたに分かりますか?腕をもがれるより辛く痛い。いっそ死んでしまえたら楽なのに死ねない。
そんな、苦しい思いを蓮花さんにさせたくないんですよ。
分かってあげられない彼女の苦しみも悲しみも痛みも。
ぜんぶわかってあげられない。
逆に俺が声優になるまで苦しかったことや悲しかったことをぜんぶを分かることなんか出来ないと思ってる。
でも。あの時・・・感じた。
「……だったらなんですか?
当たり前じゃないですか。俺は自分の仕事が好きですよ!大事ですよ!!無くしたくなんかない!
彼女より大事です!!」
あの時のコサージュの香りを思い出した。
「でも、
それだけじゃないんだよ!!!
いまは!俺だって!」
面食らったように立花くんは呆然としていた。
こんなに叫んだのは久しぶりだ。
愛してる。
好きだ。
だから、おれと今を生きよう。
過去だってなんだって受け止めるから飛び込んできていいから。
一人で泣かないで。
なぜか、
初めてセリフを貰った日のことを思い出した。
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