ハナミツ

「子供らをよろしく頼むよ。」


「萌、子どもじゃないもーん!」

「バカか?」



結城さんはコサージュを持ち出口から出ようとしていた。
振り返って、語りかけられた。


「結城さん、わたしはー…」

「葵さんが言い出しっぺとはいえ陣頭指揮を取ったのは貴女だから、あなたが来ないとあちらも安心しません。いくら私(結城)の名が売れてるとはいえ……それとも何か行きたくない理由でも?」



迷ってる私をコサージュを持った結城さんが、
にこやかに微笑んだ。




「みな……あなたに感謝しています。
"Aqua gardenの藤ノ宮蓮花"。
何もでしゃばれなんて言いません。
感謝は笑顔で、批判は聞き流して。」



ー…綾瀬さん。








「すみませーん、そろそろコサージュをお願いしまーす」


「時間は止まらないんだよ、蓮花さん。ただ、
前に前に進むだけ 、残酷なくらい早く。」



ガチャッとドアを開け、結城さんは歩き出した。

「今から行きます、お待たせしました。」



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