ハナミツ
それぞれコサージュをつけていった。
役者さんたちが一気に華やかになる。
「あれ、綾瀬さんは?」
「音響関係でステージに………」
スタッフさんは口々に見てない、さっき見たけど、
いや、さっきはあそこにいた。
と言っていた。
花は私の持っている
白い薔薇と黄色の薔薇のコサージュが余っていた。
「……私、ちょっと見てきます。」
結城さんが、返事をする前に私は楽屋を飛び出す。
「綾瀬さん!!」
階段を下り、ステージらしき場所に走る
スタッフさんが沢山いた。
皆黒っぽい衣装だから誰か誰か見分けがつかない。
時計は11:40。
どうしよう、見つからない。
「あんた何かね、花屋さん?」
「あ、はい、花屋です!綾瀬さんて人は……」
ベテラン風のバンダナを巻いたおじさんはあやせ?と首を傾げた。
知らないかな、
んーと唸ってるおじさんを我慢強く見ていたら
近くにいた茶髪の若いお兄さんが助け船を出してくれた。
「三木さん。綾瀬さんなら、
調整室で見たよぉ!
あんた花屋さんだろ?早く行かないとぉ時間ないよ?」