ハナミツ





"はじめまして"


「………、」


「……」



「何か?」


当たり前だ。わたしと綾瀬さんは花屋と声優。
交わる事はないし、顔すら知らない。


それが普通、綾瀬さんの対応は間違っていない。

初めて会った人への対応としては丁寧過ぎるくらい。


でもその丁寧過ぎるくらいな挨拶は、どこか心が傷んだ。



ーでしゃばれなんて言わない。
ー皆あなたに感謝しています、Aqua gardenの藤ノ宮蓮花に。



スタッフさんが私の肩をかすめて走っていく。


「ー……っ、」

綾瀬さんは少し険しい顔をし、目線をすぐ私に戻した。




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