ハナミツ
ードクン
心臓の音うるさい。
コサージュは飾れた、手を離さなければいけない。
まわりのスタッフさんも段々ピリピリしだしてきた。
「ねー、まだかな?」
「私、綾瀬さんに会えたら死んじゃう!ヤバイ!」
「みや本当に綾瀬さんマニアー。」
お客さんの声がした。一瞬ざわめきの中に紛れて
聞こえた。
ー蓮ちゃん、お母さん行ってくるね。
ちょっとだけ"吉野さくら"になってくるわね。
それが終わったら、蓮ちゃんのママに戻るから。
いい子いい子しててね、蓮ちゃんだいすき。
優しい手、優しい声。
お母さん。
「………藤ノ宮さん。」
一呼吸置き、綾瀬さんの声がした