ハナミツ
ガシャーーン !
綾瀬さんの近くに照明は落ちてきた。
私は間一髪、綾瀬さんを突飛ばした。
突飛ばしたと言っても軽く押したくらいだけど。
照明は運良く頭には当たらなかった。
「おい!照明落ちてきたぞ!なにやってんだ、照明係は!」
「女の子の足に照明当たったぞ!」
「………、っ、」
足の膝裏辺りがスギズキした。一瞬で、
私も何が起こったか分からなかった。
「あ、や、せ、……さんは、大丈夫ですか?」
綾瀬さんは立ち尽くしたまま、動かなかった。
多分何が起こったかわからないんだろう。
「藤ノ…宮さん、なにやって……」
「照明落ちて来るの見えてたんです。私の位置から、当たらなくて良かっ………っつ。」
スタッフさんが、大丈夫かと駆け寄って来てくれた。
「大丈夫です。……車椅子があれば、それに乗って………えと、」
足がずきずき痛い。
頭がぼうっとしてきた。
いけない。
気を失いそうだ。
「馬鹿じゃないですか。………」
綾瀬さんは、私の近くに来て照明の破片を握った。