ハナミツ









「お茶飲みますか、今日はとりあえず
入院して、明日には迎えがくるそうです。
えーと、確か店長………さんが。
足は打撲ですけど、意識が戻らなかったので
検査も含めて入院になったんです。
荷物はとりあえず脇の鞄に準備しています。」




綾瀬さんはテキパキとした
口調で説明してくれた。


まるでこないだの事なんか無かったみたいに。



「ありがとう、ございます。……」


「……これくらい、別に。」




綾瀬さんの方を見て言うと彼はすっと、
目を伏せた。






当たり前だ、綾瀬さんの正体を
私が知ってしまい、
私と綾瀬さんは会わなくなった。



けれど何の縁か、私は綾瀬さんに
関わりこうして怪我までしてしまった。



綾瀬さんのほうが責任を感じてしまう一方だ。





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