ハナミツ





怪我して当然。



「………」


「俺は、あなたに声優だと黙っていた。


俺はあなたと会ってる時が楽しかったから、
藤ノ宮さんには"ただの綾瀬さん"で接して欲しかったから。


エゴですよ、それがこんな風になってしまった。
あなたに本当のことがバレて、怪我させて………」




綾瀬さんは、低い口調で話し
私を見た後、目をつぶった。

声優さんだからかまるで台詞を話してるみたいだった。





「すみません。……」



「………、俺がばかみたいじゃないですか?
あなたから離れようとしてたのに。
まるで俺だけ逃げようとして。
これで逃げたら本当に格好悪いですよ。」





格好悪い……。





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