ハナミツ



そんなことない。
綾瀬さんは、ちゃんと謝ってくれた。

七瀬さんの言うとおり。



ー羨ましいよ。君たちは。
ただの綾瀬直昭と藤ノ宮さんとして出会ったんだね。





「もし俺がいま逃げだしたら、神様がまたあなたに
会わせようとします。たぶん、何度も何度も。…分かるんですよ。……だから藤ノ宮さん」




「はい。」


布団をぎゅっと握った。
綾瀬さんはわたしを、じっと見た。

何か大事なことを言われる気がして。










「…俺とまた会って欲しいです。
嫌なら言ってください。二度と会いません。」



「………………。」


「……。」




嫌なら会いません。











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