私と彼女と彼等


「ん?」

それだけじゃ分からないらしい啓。

そんな啓にイラッとするも、

......お願い、気づいて。


そんな思いを込めて声を振り絞る。



「助けて、ち、かんなの......。」



蚊の鳴くような声で啓に助けを求める。







「!......」

気づいたらしい啓は腕を引っ張って場所を代わってくれた。  


こ、怖かったぁ......。



......あ、震えてる。


体が小刻みに震えているのが分かる。


「大丈夫じゃねぇよな、怖かったろ?......ごめんな。」
 
珍しく真剣な声の啓。

震える私の体をぎゅっと抱き締めてくれた。

......う、


目から涙が溢れる。


そんな私を片腕に抱き締めながら

「おじ様ぁ。私のお尻そんなに魅力的ぃ?」


お尻を撫でていたと思われるおじさんの手を捻りあげる啓。


口調はふざけているが顔が笑っていなくてかなり怖い。







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