私と彼女と彼等


......

「いやぁ、ペンギン可愛かったなぁ」

「そうだね。次、何見に行こっか?」

「じゃ「ママ、どこー!?」


啓の声を遮った小さい男の子の声。

あれ、迷子かな?


「少年よー。迷子かぁ?」


なんて思っているとその小さい男の子に声を掛けた啓。


「迷子じゃないもんっ、ママとはぐれただけだもんっ。」

いやいや、それを迷子と言うんだよ。

なんて思ったけど言わないでおこう。

この男の子のプライドを傷つける訳にはいかないもんね。


「そうかぁ、じゃ、この正義の味方がママを探してあげようじゃないか。」


そう言って男の子を肩車した啓。


男の子は無邪気にきゃっきゃと喜んでいる。


「マーマー!!」


男の子の代わりに叫ぶ啓。

いやいや、あんたはママって年でもないだろう。

ちなみにあんたのお母さんじゃないし。

なんて思いながら一緒に叫ぶ。

「この子のお母さんいますかー!」









< 142 / 355 >

この作品をシェア

pagetop