私と彼女と彼等


......

......こ、怖いよー。

まだ、入ったばっかだけど..!!

おかげで啓の手がはなせない。

「稚咲っ!!稚咲っ!!ほら、あれ包帯巻いてる女!!見ろよ~!!」

こいつは......!!

......あぁ、こいつはホラーも大好きだった。

ていうか、こいつは基本嫌いなものなんてない。

「ほらっ!!稚咲ぃ~!!血塗れの男だっ!!」

......啓、ここはお化け屋敷なんだよ。

そんな嬉しそうにしてたらお化けの出る幕なしだっつーの......。


てか、

怖いよぉぉぉぉぉっつ

顔が青いのが自分でも分かる。

......あかん。

「稚咲?」

啓が私の名前をよぶ。

「......なに。」

あー、ここで素直に怖いって言えたら可愛いんだけどねー。

素直じゃないから言えない。

美咲なら可愛く言えんだろうなぁ。

......あ、駄目だ。

足がすくむ。

「どうした?あっ、もしかして......」
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