君がくれた約束[続編]
秀司は少し黙り込むと、リカコさんの腕を掴む。
「リカコ行くぞ」
「えっ?!」
「これから婚約発表だ。そのあと十五時三十五分の便で帰るからな」
「ちょっと待ってよ!」
そう言いながら秀司に引っ張られて、部屋を出ていくリカコさんの右手の薬指には、秀司があの日買った指輪がしっかりと嵌められている。
「……」
「あのふたりよかったね」
「うん。じゃあ、今の内に裏口から出ようか」
「マスコミは?」
「あのふたりの婚約発表でいないよ」
「そっかぁ」
私は荷物を持ち、管理人に事情を話すと、シュウと一緒に裏口から出る。
タクシーに乗ると、寂しくなった。
「どうしたの?」
「なんかゆっくり会えないね」
ふたりで会えない……。
「仕方ないよ」
「……うん」
そうだけど、シュウは寂しくないの……?
「それから倫子さん、暫く東京に来ない方がいいと思う」
「なんで?!」
もっと一緒にいたいのに、シュウはそんなことないってこと?
「倫子さんのお父さんが許してくれる迄、ちゃんとしといた方がいいと思うんだ」
「だって、そんなこと言ってたら、何年もシュウのところに行けなくなるかもしれないんだよ?!」