君がくれた約束[続編]
「ああ」
「シュウがお父さん連れてくるみたいだから」
私がそう言うと、父親は飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになって言った。
「行動力のある男だな」
「そうだよ。後、今度の土曜日、紗香のところに泊まりに行くから。紗香ね、子供ができたんだって」
「そうか」
父親は少し優しい顔をして笑った。
私に子供ができたら、すごく可愛がってくれるだろうな。
少しずつ前に進めてることが嬉しくて、そのことで頭がいっぱいになる。
まだ片付いていない問題も私の中で薄れていた……。
―土曜日
東京に行く準備をする。
今日はシュウのところに行くわけじゃない。
化粧を終え、家を出ようとしたとき、携帯が鳴った。
―着信 シュウ
シュウだ!
「もしもし」
「倫子さん?」
「うん」
「なにしてたの?」
本当は今から東京に行くけど……。
シュウに言うと会いたくなるから、秘密にするんだ。
「ちょっと買い物にでも行こうかなと思ってたとこ」
「そっか。今日の夜、電話できないから」
「そうなんだ?でも私も友達のところに泊まりに行こうと思ってたから」