君がくれた約束[続編]
「なんで……私のこと知ってるの……?」
「知りたい?」
「うん」
するとヒデキは少し黙って、笑顔で答えた。
「じゃあ、携帯番号教えてよ?」
教えてもいいの……?
少しだけ、ううん、すごく危険な匂いがする。
「……嫌よ」
「じゃあ言わない」
「……」
「あっ、友達来たんじゃない?俺行くから。じゃあ又ね。神田倫子さん」
「ちょっと……!」
ヒデキは私の声を無視して、駅の中に消えていった。
なんなの?
始めから私のことを知ってて、声を掛けてきたの……?
それに『又ね』って……。
呆然と駅の方を見ていると、後ろから声がした。
「倫子!」
振り返るとそこには紗香がいて、私はホッとして気が抜けて涙がこぼれた。
「紗香~」
紗香は私の頭を軽く叩いて言う。
「やっぱり。泣いてると思った。話は家で聞くから行こう?」
「うん……」
「いっぱい荷物持って……。家出したおばさんみたいだよー?」
「もう。紗香の意地悪」
私は泣きながら笑う。
十五分くらい歩いて着いたところは、少し新しめのマンションだった。
「ここなの」
照れ臭そうに紗香が言う。