君がくれた約束[続編]

なんでだろう……?


シュウからの電話をいつも待っていて、いつも手元から離さなかった携帯……。


シュウと私を繋ぐ携帯。


このままずっと押し入れの中に入れてたら、シュウと終わってしまう?


そしたら、それでいいのかもしれない。


千里からも解放されて、悩むこともなくなって、シュウと出逢う前の私に戻れるかもしれない。


そしたら、


それでもいい気がした。


誰かを憎んだり、

不安になったり、

寂しくなるのは疲れる。


今まで感じたことのなかった感情が生まれて、シュウを好きなのかも分からなくなった。



翌日、目を覚ましてカレンダーを見ると、来月の三日まで後二週間を切っていた。


携帯を押し入れから出す気にはなれない。


朝食を食べるのに、キッチンに行くと、父親が小さな声で私に聞いた。



「来月の三日はどうするんだ?」


「うん……まだ分からない」


「空けておくから」


「……えっ?」


「……」



父親はそのまま黙ってしまった。


私は少しだけご飯を残すと、会社に向かう。


なにも考えないのはすごく楽で、もしかしたら、本当にシュウと終わってしまうんじゃないかと思う。


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