君がくれた約束[続編]

「働かなくていいよ」


「えっ?」


「倫子さんはテーブルマナーとか、そっちの方を覚えてくれたらいいよ。仕事はしなくていいから」


「でも……」



まだ結婚する訳じゃないのに、養ってもらっていいのかな……?



「花嫁修行だよ。それができなかったら結婚できない」


「えー?!」


「だから頑張ってね」


「……うん」


「じゃあ、仕事に戻るから」



そう言って電話を切ると大きく溜め息をついた。


私にできるのかな?
なんだかすごく不安になるよ……。


でも……できたら結婚?

頑張るしかない!!



私は東京に行くまでの間、荷造りをしながら、英語やテーブルマナーの本を買ってきて勉強をする。


少しでも早くシュウのお嫁さんになりたいんだ……。


そして無事退職をし、東京に行く日がやってきた。


シュウが迎えに来るまでの時間を、当分一緒に過ごすことがないだろう、家族三人で過ごす。



「そろそろ来るんじゃないの?シュウくん」


「……うん」



父親は無口で、初めて家を出たときのようで少し寂しい。


その時携帯が鳴った。


―着信 シュウ



「もしもし」


「倫子さん?今日行けなくなった……」


< 195 / 305 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop