君がくれた約束[続編]
「働かなくていいよ」
「えっ?」
「倫子さんはテーブルマナーとか、そっちの方を覚えてくれたらいいよ。仕事はしなくていいから」
「でも……」
まだ結婚する訳じゃないのに、養ってもらっていいのかな……?
「花嫁修行だよ。それができなかったら結婚できない」
「えー?!」
「だから頑張ってね」
「……うん」
「じゃあ、仕事に戻るから」
そう言って電話を切ると大きく溜め息をついた。
私にできるのかな?
なんだかすごく不安になるよ……。
でも……できたら結婚?
頑張るしかない!!
私は東京に行くまでの間、荷造りをしながら、英語やテーブルマナーの本を買ってきて勉強をする。
少しでも早くシュウのお嫁さんになりたいんだ……。
そして無事退職をし、東京に行く日がやってきた。
シュウが迎えに来るまでの時間を、当分一緒に過ごすことがないだろう、家族三人で過ごす。
「そろそろ来るんじゃないの?シュウくん」
「……うん」
父親は無口で、初めて家を出たときのようで少し寂しい。
その時携帯が鳴った。
―着信 シュウ
「もしもし」
「倫子さん?今日行けなくなった……」