君がくれた約束[続編]

「嘘?!」


「嘘。もうすぐ着くよ」


「もー。分かった」



電話を切り家の外に出て少し待つと、シュウが乗った車が止まり、私は車に駆け寄る。


シュウが車から降り、ふたりで家の中に入ると、シュウは軽く礼をし、ずっと無口だった父親が口を開いた。



「倫子はこれでも大事なひとり娘だ。泣かすようなことがあったら、すぐに連れて帰るからな!」


「分かってます。絶対泣かすようなことはしません」



父親は大きくうなずき、涙目になっていた。


胸がキュンとなった。



「お父さんったら……。これじゃあ、倫子がお嫁にいくときは大変ね」



「そうだな」



父親がそう言うと、少し笑みがこぼれ、シュウが言う。



「それじゃあ、荷物を運んで東京に向かいます。来月又一緒に顔を出します」


「ああ、約束だからな」



……約束?



「じゃあ倫子さん、荷物を運ぼ?」


「うん」



そう言ってシュウと私は部屋から少ない荷物を運び出す。


全部の荷物を運び出すと、両親に別れの挨拶をする。



「じゃあ、行くね」


「気を付けるのよ?シュウくん、倫子のことお願いね」


「はい」


「お父さん……ありがとう」



父親は又無口になって、コクリとうなずく。


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