君がくれた約束[続編]
そのとき玄関が開き、その音にヒデキは一瞬振り向いたけど、気にする様子もなくそのまま続ける。
ヒデキの唇が重なったとき、身体の力が抜けて動けなくなった。
シュウに見られてるよね……?
「なにやってんだよ?!」
怒鳴り声と一緒にヒデキは振り払われ、私を抱き締める。
私はホッとした気持ちと、悲しさで涙がこぼれた。
なんで……シュウじゃないの……?
「大丈夫?」
「はい……。三上さんのお陰で……ありがとう……ございます……」
「大丈夫ならいいんだ」
そう言って、三上さんは私を強く抱き締めた。
「あの……警察呼びますか?」
そう聞いたのは管理人のおじさんで、私は首を横に振った。
「じゃあ、私はこれで……」
そう言って管理人はいなくなると、ヒデキは壁を思い切り殴って言った。
「なんで警察を呼ばないんだよ?!」
「……」
自分でも何故だか分からない。
ヒデキのお姉さんに対する罪悪感なのかもしれない。
今起きたことを警察に話すのが嫌なだけなのかもしれない。
シュウが傷付くかもしれないからなのかもしれない。
私もヒデキも三上さんも黙ったまま、時計の針の音だけが聞こえる。