君がくれた約束[続編]

「ずっと……起きてたんですか?」


「うん。寝るのが勿体なくてね」


「勿体ない……?」



三上さんはなにも答えず起き上がると、私に言った。



「そろそろ用意するか?」


「はい」



今日、滋賀に帰るんだ……。


全部捨てなきゃ。


東京に……。


シュウへの気持ちも。



カーテンを開けて東京の街並みを見下ろすと、帰る支度をする。


帰ったときの両親の反応を想像すると、又胸が痛くなった。


せっかく送り出してくれたのに、こんな風になっちゃった……。



「じゃあ行くか?」



私はうなずき三上さんと一緒に部屋を出る。


三上さんも私も無口で、駅に着くと三上さんが口を開いた。



「向こうに帰っても頑張れよ」


「……はい。三上さんも……幸せになってください」



少し笑顔でそう言うと、三上さんは私を強く抱きしめて言った。



「本当は行ってほしくないんだ。でも……もう連絡もしてこないんだろ……?」


「……」


「昨日話してて分かったよ……」


「……ごめんなさい」



三上さんはゆっくりと身体を離し、少し笑いながら言う。



「絶対幸せになれよ?」


< 248 / 305 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop