君がくれた約束[続編]

もうすぐ赤ちゃんに会えるのかな……?

でも怖い。

出産って痛いって聞くし、私に産めるの……?


動くのが怖くて、じっとしたまま母親が来るのを待つ。


車でたった十分の距離なのに、すごく長く感じた。


インターホンの音がして、少しホッとして玄関に向かうと、母親と……父親の姿があった。



「倫子、大丈夫か?病院に行くぞ!」



少し興奮気味な父親に、母親は笑いながら言った。



「まだ陣痛も始まったばかりだから、今行っても待たされるだけよ。もう少し待ってからでいいの」


「そうか……」


「お父さん……ありがとう」



もう口も聞いてくれないと思ってたから……来てくれたことが本当に嬉しかった。


陣痛の時間を測りながら、大分感覚が短くなってきたところで、三人で病院に向かう。


病院に着くとすぐに分娩室に通されて、母親の立ち合いで出産が始まった。



「倫子、頑張るのよ!」



すごく怖くて、でも会いたくて、なにがなんだか分からない状態で、無事出産が終わった。



「元気な男の子ですよ」



そう言われて見せてもらった赤ちゃんは、顔をグシャグシャにして元気よく泣いていて……。



涙が出た。


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