君がくれた約束[続編]

―翌日


父親は仕事を休んだみたいで、面会時間になると母親と一緒に来て私に言った。



「子供の名前は考えてるのか?」


「……まだ」


「昨日父さんが考えたんだが、裕介ってどうだ?」


「……裕介?」


「お父さんね、昨日寝ないで考えてたのよ」



母親はそう言って笑う。

お父さんはあんなに反対していたのに……。


ずっと親不孝してきたんだもん……。



「うん。裕介にするよ」


「そうかそうか」



父親は嬉しそうに笑いながらそう言い、続ける。



「退院したら、うちに帰ってきなさい」




「……いいの?」


「ああ。ひとりじゃ無理だろ?」


「……ありがとう」



すごく嬉しかった。


父親が許してくれたこと。


本当はすごく不安だったから……。


ひとりで子供も育てることも。


ひとりで生活していくことも。


どうにもならなくなって、裕介を産まなきゃよかったって、少しでも思う日がくるんじゃないかって……怖かったんだ。



「私、ちゃんと家にお金も入れるから……。宜しくお願いします」


「分かってるよ」



それから入院している間に、父親がアパートを引き払い、少ない荷物も家に運んでくれた。


< 275 / 305 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop