君がくれた約束[続編]
―翌日
父親は仕事を休んだみたいで、面会時間になると母親と一緒に来て私に言った。
「子供の名前は考えてるのか?」
「……まだ」
「昨日父さんが考えたんだが、裕介ってどうだ?」
「……裕介?」
「お父さんね、昨日寝ないで考えてたのよ」
母親はそう言って笑う。
お父さんはあんなに反対していたのに……。
ずっと親不孝してきたんだもん……。
「うん。裕介にするよ」
「そうかそうか」
父親は嬉しそうに笑いながらそう言い、続ける。
「退院したら、うちに帰ってきなさい」
「……いいの?」
「ああ。ひとりじゃ無理だろ?」
「……ありがとう」
すごく嬉しかった。
父親が許してくれたこと。
本当はすごく不安だったから……。
ひとりで子供も育てることも。
ひとりで生活していくことも。
どうにもならなくなって、裕介を産まなきゃよかったって、少しでも思う日がくるんじゃないかって……怖かったんだ。
「私、ちゃんと家にお金も入れるから……。宜しくお願いします」
「分かってるよ」
それから入院している間に、父親がアパートを引き払い、少ない荷物も家に運んでくれた。