君がくれた約束[続編]
――それから更に二年後
裕介は三歳になった。
シュウはいつの間にかテレビの中から消え去った芸人みたいに、なんの報道もないまま……。
きっと車椅子の人と上手くやってるんだね。
そう思っても胸の痛みは以前よりずっと優しい。
「神田さん、今日ご飯でもどうですか?」
仕事帰り、最近入社した片瀬くんが私に言った。
片瀬くんは私より二つ年下で、いかにも真面目そうで誰にも優しい。
「ごめん。裕介が待ってるから」
「そうですよね。もし時間がある時があったら、いつでもいいから教えて下さい」
「ごめんなさい。明日も明後日もずっと無理かも……」
「そっか……。あっ、でも別に僕は裕介くんと三人でも全然構わないですから!」
一生懸命言う片瀬くんが少し可愛くて、私は笑顔で答える。
「裕介のOKが取れたら……ね!」
「はい。じゃあ気を付けて下さい」
「バイバイ」
私は急ぎ足で裕介が待つ家に帰る。
家族の愛情に恵まれなくて寂しい思いをしたシュウみたいに、裕介に寂しい思いをさせてはいけない。
私が裕介をひとりで産むことを選んだことの、最低限の責任なんだ。
だからずっと恋愛なんてしなくてもいい。
裕介のことだけを考えたいんだ。