君がくれた約束[続編]

なんて裕介に説明すればいいんだろう?


貴方を産みたかったからひとりで産んだ?


でも父親がいない理由の答えにはならない……。


父親は死んだとか、そんな嘘をつきたくもない。


少しずつでも裕介が解る範囲で話して、裕介とちゃんと向き合いたい。



いつものようにご飯を済ませ、裕介と一緒にお風呂に入る。



「裕介にひとつ聞いてもいい?」


「なに?」


「……ママに聞きたいこととかない?」



三歳の裕介に聞きながら少しドキドキした。


裕介に父親のことを聞かれたら、ちゃんと答えよう。


裕介が解る範囲で。



「……あのね」


「うん」


「……ぼくのパパはいつできるの?サンタさんがつれてきてくれるの?」



裕介にそう言われた瞬間、息が止まりそうになるくらい胸が苦しくなった。


裕介はパパが何故いないのかを知りたいんじゃなくて、パパが欲しいの……?



「裕介はパパが欲しいの……?」


「うん!」


「……」



なんて答えればいいんだろう……?


そんな私の顔色を見て裕介は言った。



「やっぱりいらない。ママがいるし」



私は思わず裕介を抱きしめた。


ごめんね、裕介……。


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