君がくれた約束[続編]
裕介が隣で気持ちよさそうに眠っていても、私は眠れない。
私はただ父親がいない分、何倍もの愛情を与えればいいと思っていたけど、そうじゃないんだ。
父親は別なんだよね……。
当たり前のことだけど。
どうすればいいのか分からない。
こんなに小さいのに、当たり前にいる父親の存在を我慢させてごめんね……。
父親は……シュウは貴方の存在を知らない。
産んだことじゃなくて、そんな環境を作ってしまったことに酷く後悔した。
裕介の髪をそっと撫でる。
ごめんね。
でも絶対幸せにするから……。
―翌日
仕事が終わると片瀬くんが、屈託のない笑顔でいつものように私を誘う。
「神田さん!裕介くん、OK出ました?」
私は片瀬くんの顔を見て真顔で言った。
「私……将来は私の旦那じゃなくて、裕介の父親になってくれる人じゃないと、ご飯も無理かも……」
こんなことを言う女なんて敬遠するに決まってる。
片瀬くんの顔色がスッと雲っていくのが、手に取るように分かった。
でも私は母親である以上女にはなりたくない。
「本気……ですよね?」
私はなにも言わないでコクリとうなずく。