君がくれた約束[続編]
微妙な雰囲気の中、遊園地の中に入り、子供が好きそうな乗り物に乗る。
始めは無口だった裕介は少しずつ元気になって、私も片瀬くんもホッとして顔を見合わせる。
「おじさん、つぎはあれのりたい」
「……おじさん……。まぁいいや。じゃあ一緒に乗ろうか?」
「私はちょっと疲れたから、ここで待ってるね」
「おじさん、いこー」
「うん。じゃあ神田さん、行ってきます」
「うん」
楽しそうに列に並ぶふたりを見て、私は思った。
もし普通に結婚して裕介を産んでいたら、これが当たり前の日常だった……。
裕介は戸惑うこともなくはしゃいでいて、“おじさん”じゃなく“パパ”って、遊園地の中を走り回っていただろうな。
そんな当たり前の日常を私は始めから、裕介から奪ってしまった。
ごめんね……。
乗り物に乗り、楽しそうに手を振る裕介を見ていると、涙が出そうになった。
「ママー、たのしかったよ!のどかわいた」
「じゃあ、おじさんが買ってくるよ。なにが飲みたい?」
「こーら」
「ダメよ。オレンジジュースにしなさい」
「えー」
「今日くらいいいじゃないですか」
「……そうだね」