君がくれた約束[続編]

「おじさんバイバイ」



裕介は満面の笑みを浮かべ、私は小さく頭を下げて席に座った。


席に座ると裕介はコクリコクリとしていて、そんな裕介を愛しく思う。


シュウは今頃どうしているんだろう?


あの車椅子の女の人との間に子供はできたのかな……。


そして、今日の私と裕介と片瀬さんみたいに、動物園に出掛けたりしてるのかな……。


そう思うと胸が苦しくなった。


やめよう。


せっかく楽しい一日だったのに。

こんなことを考えるのは。




私は私と裕介の人生を考えなきゃいけない。


シュウとのことは完全に終わってるんだから……。




「裕介、着いたよ」


「……うん」



眠そうな目を擦りながら裕介は起き、手を繋いで家に向かう。



「今日は楽しかった?」


「うん!ママはたのしかった?」


「うん。楽しかったよ」



私のその言葉を聞くと、裕介はより一層嬉しそうな顔をする。


そして家に着き、居間に入ろうとした瞬間、信じられない言葉がテレビの音となって流れてきた。



「先程高山秀明さんの離婚のニュースが飛び込んできました。CMのあとお伝えします」



嘘。


……離婚……したの……?



ドアを開けようとしていた手が止まった。


< 287 / 305 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop