君がくれた約束[続編]
その時、部屋をノックする音が聞こえた。
私は急いで涙を拭う。
「…はい」
「倫子、入るわよ」
そう言って母親は部屋に入ると、私の目の前に座って言った。
「泣いてたの…?」
「…大丈夫」
少しの沈黙の後、母親が口を開く。
「お父さんね、悪気がある訳じゃないのよ?ただ倫子が心配なのよ」
「……」
「まぁ、あの人の場合はそれだけじゃなくてね、周りの同世代の人に孫がどんどん出来ててね、それが羨ましいのよ」
母親はそう言って笑う。
「一度だけ、お見合いしてみたら?」
「でも…」
「お見合いしたからって、絶対に結婚しないといけないって訳でもないし…。一度お見合いすれば、お父さんだって煩く言わないわよ」
「……」
「断ってもいいけど、ちょっと考えてみて?」
「…うん」
母親が部屋を出て行き、私は布団の中に入る。
お見合い…シュウが知ったら何て言うかな?
何とも思わないよね……
一度だけ…一度だけお見合いをしてみよう。
お父さんは、いつも私の幸せを1番に考えてくれているんだ。
一度だけお見合いをして、断ればいいよね?