君がくれた約束[続編]
―翌朝
朝ごはんを食べに食卓に行くと、気まずそうな顔をして父親が言った。
「倫子…昨日は悪かったな」
いつも威勢のいい父親が、しょんぼりとして少し寂しい。
「いいよ、別に…」
「倫子が見合いが嫌なら、もう父さんが全部断るよ」
私は思わず言ってしまった。
「…いいよ、お見合いするよ。でも木村さんが最初で最後だからね?」
すると、父親は嬉しそうな顔をして言う。
「そうか!じゃあ先方に伝えておくからな」
「でも、本当に最初で最後だからね?」
「分かった、分かった」
昨日の夜とは一変し、穏やかな空気を心地良く感じながらも、シュウに対する小さな罪悪感が胸をチクチク刺す。
別に結婚する訳じゃないし、一回皆でご飯を食べて断れば、何の問題も無いよね?
もしシュウから、電話があったらお見合いは断わろう……。
でも、シュウからの電話は一度も鳴らなかった…。