君がくれた約束[続編]
「いえ、こちらが早く着きすぎただけですから。秀司も楽しみにしていたんですよ」
秀司……?
私はドキンとして思わず、お見合い相手の顔を見る。
家で見たお見合い写真と殆ど変わらない……。
なんとなく、シュウに似てる。
「まぁ、木村さんも神田さんもとりあえず座って下さい」
渡辺さんが慣れた感じでそう言うと、みんな席に座った。
「じゃあまず紹介しますね。こちらが…」
渡辺の紹介の言葉は耳に入らなくて、私は秀司に釘付けになった。
顔だけじゃなく、雰囲気もよく似てる。
その時、膝の上に置いてあった鞄の中の携帯がブルブルと震えた。
…電話?
シュウかもしれない。
いつだってシュウはこんな時、タイミング良くアクシデントを起こすんだ。
私はドキドキしながら、周りに気付かれないように、ソッと鞄を開けて、携帯をチェックする。
―着信 千里
シュウじゃなかった…。
私はガッカリして、鞄を閉めた。
お見合いが終わったら、かけ直そう…。
そう思った時、父親が私を呼ぶ。
「倫子」
「えっ?」
「『えっ』じゃないだろ」
何故か私に皆の視線が向けられている…。